名古屋大学(名大)は、脳の生殖中枢「キスペプチンニューロン」において、遺伝子が巻き付いているヒストンにタンパク質の1種で女性ホルモンの「エストロジェン」が働いて「キスペプチン遺伝子」を発現させ、排卵を促すという仕組みを明らかにし、卵巣と脳の間の密接なつながりを示したと発表した。 成果は、名大大学院生命農学研究科の冨川順子研究員、上野山賀久助教、束村博子准教授らの研究グループによるもの。研究の詳細な内容は、米国時間4月9日付けで「米科学アカデミー紀要(PNAS)」に掲載された。 ヒトも含めてほ乳類の雌では周期的に排卵が起こる。雌の体内の卵巣にあるのが、液体の詰まった風船のような構造物の「卵胞」だ。そして、卵胞の中にしまわれているのが卵子である。卵胞はホルモンの働きで徐々に大きくなると最終的には破裂し、卵子が外へ飛び出す、つまり排卵が起こるというわけだ。 排卵の起きるメカニズムをもう少し詳しく説明すると、卵巣内の排卵間近に成長した卵胞が大量のエストロジェンを血液中へ放出することがきっかけとなる。それが脳の生殖中枢である「キスペプチンニューロン」と呼ばれる細胞を活性化し、「性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)」や「黄体形成ホルモン」を大量に放出させ、ついには排卵を引き起こすという仕組みだ。 一方、発育途上の小さな卵胞から放出される少量のエストロジェンは、逆に、キスペプチンやGnRHの分泌を抑制しながら、未熟な卵胞が徐々に発育するようにする働きがある。 なお、キスペプチンとは、2001年に日本人により発見された神経ペプチドの1種。2003年に、大人になっても性成熟に達しない男女で、キスペプチンやその受容体遺伝子の突然変異が発見されたことがきっかけとなって、このペプチドの生殖における重要性が明らかとなり、家畜生産や生殖医療分野でも注目されるようになった。 脳はこのように、エストロジェンの血中濃度を指標として卵胞の発育状態をモニターしつつ、排卵のタイミングを計っている。GnRHは1960年代に発見され、生殖系を支配する脳ホルモンとして一躍注目されたが、その後エストロジェンという女性ホルモンが、どのようにGnRH分泌を促進したり、逆に抑制したりするのかが、永年の謎であった。 前述したようにキスペプチンは、エストロジェンの信号を脳内で受け取り、GnRHの分泌を制御する中枢として注目されている。脳にある2つのキスペプチンニューロン細胞集団の内の1つは、エストロジェンがキスペプチンの産生を刺激するための排卵中枢と考えられている。もう1つの細胞集団ではエストロジェンがキスペプチン産生を抑制することから、卵胞の発育を制御する中枢という推察だ。 キスペプチンニューロンには、GnRHニューロンとは異なり、エストロジェンを感知するためのエストロジェン受容体があることから、エストロジェンの上記の2つの相反する作用を仲介する細胞として着目されていたものの、どのような仕組みでエストロジェンが2つのキスペプチン集団におけるペプチド産生を、場所によって逆向性にコントロールするかは不明であった。 ほ乳類において遺伝子本体であるDNAは、細胞内でタンパク質のヒストン8量体に1.65回巻き付いた形状で存在し、この構造は「クロマチン」と呼ばれる。クロマチンはこのように凝集した構造を採っており、DNAを活性化させる物質のアクセスを妨げる役割を担う。むやみに遺伝子発現が起こらない仕組みとなっているのだ。 今回の研究は、脳前方にあるキスペプチンニューロン集団において、卵巣から分泌されたエストロジェンが、キスペプチン遺伝子領域のヒストンタンパク質に対して化学変化「アセチル化」を促すことによって、クロマチン構造を緩め、その結果としてキスペプチン遺伝子の発現を促すことを明らかにした。 その際、エストロジェンと合体したエストロジェン受容体タンパク質が、遺伝子発現を司る「プロモーター領域」(ある遺伝子を発現される機能を持つ塩基配列)に結合することが判明。さらに、プロモータ領域の少し後方にある「エンハンサ」と呼ばれる遺伝子発現の調節に重要な領域がこのプロモータ領域に接近し、キスペプチン遺伝子を促すことを、遺伝子改変マウスなどを用いて明らかにしたのである。 一方で、エストロジェンによってキスペプチン産生が抑制される脳内後方のキスペプチンニューロン集団では、エストロジェンによってヒストンタンパク質のアセチル化が抑制されるなど、脳内前方の集団とは真逆のことが起こることも確かめられた。 以上の結果より、成熟した卵胞から分泌されるエストロジェンは、脳内前方のキスペプチン細胞において、キスペプチン遺伝子のクロマチン構造を緩めてこの遺伝子の発現を促すという、女性ホルモンが脳に語りかけ、排卵に至る過程を制御する仕組みが分子レベルで明らかとなったというわけだ。 今回の発見は、ほ乳類における生殖制御メカニズムの根幹部分の解明につながるものである。現在、家畜の繁殖やヒトにおける生殖医療は、卵子や精子を取り出し、妊娠させるという人工生殖が主だ。今回解明されたメカニズムは、不妊の原因であるホルモン分泌の異常の原因を探り、家畜やヒトにおける根本的な不妊治療技術の開発につながるものと期待されると、研究グループはコメントしている。 すごい 窓ガラスコーティング
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京都大学は4月10日、液体窒素を使用せずに長期保存可能な精子保存法を開発し、冷蔵庫で長期保存、常温で国際輸送したフリーズドライ(真空凍結乾燥)精子から産子の作出に成功したと発表した。成果は、京大医学研究科附属動物実験施設の金子武人特定講師らの研究グループによるもの。研究の詳細な内容は米国現地時間4月9日付けで米科学雑誌「PLoS ONE」に、成果の一部が科学雑誌「Cryobiology」オンライン版に掲載された。 フリーズドライは、インスタントコーヒーや宇宙食などの食品あるいは医薬品の長期保存に汎用されている技術だ。このフリーズドライ技術を精子保存に応用した場合、従来の凍結保存法と比較して、以下の利点が挙げられる。 液体窒素タンクや定期的な液体窒素の購入・補充が不要(4℃保存) 特殊な保存液が不要(トリス-EDTA緩衝液で保存可能) 設備・維持費のコストダウンが可能 保有サンプルの管理、バックアップが容易 液体窒素・ドライアイス不要の常温国際輸送が可能 といった5点だ。 このため、多くの動物種で研究が行われており、これまでにマウス、ラット、ウサギ、ハムスター、ウシ、ブタ、サルにおいて研究が進められている。研究グループは、保存サンプルの安全管理・コスト面から長期保存可能なフリーズドライ精子保存法の開発に関する研究を行ってきた。その結果、ラットでは5年間(画像1)、マウスでは3年間(画像2)冷蔵庫で保存したフリーズドライ精子から産子の作出に成功した次第だ。 これまでの精子保存には液体窒素を用いることが常識だった。しかし、東日本大震災において見られた事例として、液体窒素や超低温冷凍庫(-80℃)で保存されていた貴重な研究用サンプルが、長期停電や液体窒素の供給が途絶えたために、そのすべてを失うというダメージの大きなトラブルが生じてしまったのである。 そうしたトラブルを防ぐため、遺伝資源保存のためのフリーズドライ法の開発は極めて有効だ。フリーズドライによる精子保存は、省電力の冷蔵庫で長期保存が可能であり、さらに3カ月程度であれば常温でも保存することができる。よって、設備投資やランニングコストの大幅な軽減、普通郵便でのサンプル輸送といった大きなメリットが生じる。また、フリーズドライ精子の容器は密閉されているため、将来的には設備・スペースが極度に制限される宇宙空間でも保存が可能だ。 今回の研究では、成熟した雄の精巣上体尾部から採取した精子を「トリス-EDTA緩衝液」に懸濁(液体中に固体の微粒子が分散していること)し、フリーズドライを行った。 フリーズドライ精子は、ラットで5年間、マウスで3年間冷蔵庫で保存したものである。精子は滅菌した純水のみで復水し、顕微授精により卵子と受精させた。これらの卵子は産子にまで発生し、得られた産子は成熟後正常な繁殖能力を備えていることも確認されている(画像1・2)。 すごい 窓ガラスコーティング
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3日のニューヨーク株式市場は1月の米雇用統計が改善したのを受け、大きく上がった。大企業で構成するダウ工業株平均は、前日より156.82ドル(1.23%)高い1万2862.23ドルで取引を終えた。終値では、リーマン・ショック前の2008年5月以来、3年9カ月ぶりの高値を回復した。  ハイテク株が中心のナスダック市場の総合指数も、前日より45.98ポイント(1.61%)高い2905.66と、大きく上昇。11年2カ月ぶりの高い水準となった。  米雇用統計は、景気をうつしだす指標とされる「非農業部門の就業者数」が市場予想を大きく上回り、米景気が着実に回復しつつあるとの見方が強まった。取引開始後から買い注文が集まり、一時は160ドル以上値上がりした。世界最大の交流サイト、米フェイスブックが上場申請したことを受けて、IT企業の銘柄が買われる「フェイスブック効果」も続いている。 すごい 窓ガラスコーティング
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