LOVE LETTER....

父(藤井精) : ええ, 本日は ごたようの中 息子いつきの三回きに この様に 多数の 方々に ご出席 いただきまして まことに ありがとう ございます. 生前 お世話を うけたまわりました みなさま, しんこうあつくさせて 頂きました みなさまに おめにかかれ, いつきも さぞ よろごんでいる事とぞんじます.  

~ お教~
父    : 「あの, お牛すきの  方から これどうぞ」
男1   : 「はい, あまざけ   気いきくがな」
男2   : 「ほんま  言うたら  甘まないが いいんだけどな」
父    :  ああ,  安代. おまえあれ 菊まさかなんか あったろう。  
安代  :  あとで たっぷり 飲むんでしょ
父    :  いいから, くよう くよう
樹の友1 : 「博子さん.........  秋場さん  達が よろしくて」
樹の友2 : 「 顔出せへんで すいませんて」
博子    : 「そうですか」
樹の友3 :「先輩たち, 今日は 自宅 きんしんですよ」
博子    : 「自宅 きんしん? 」
友4     : 「皆 今だに つみの意識なんですよ」
友1     : 「 秋場さん, なんかあれからまだ 一度も山登って へん 」
友2     :  「あの人達にしたら, 先輩が死んだ車もまだきのうのこどみたいなもん
            なんやろな」
男?     : 「皆 ちょっと集まって.」
友      : 「 はい 」
男?     : 「 えいかげんな とう場やで  」
友 1  :  「ほんま言うとね, 秋場さん達が今夜こっそりはかまいりに 來る計劃らしいですわ」
父      :  「 博子さん, すまんけど, 帰りにこいつ家の前でおっこどしてくれる?」
博子    :  「はい 」
父      :  「何か  急に 頭が 痛いなって 言けだすもんで 」
安代    :  「いらないよ.  痛いたい 痛い そんなそんなつきとば さなくたって」
友 ?    :  「博子さん でしたっけ」
友 ??   :  「もう あきません, この人  菊まさ 一人で 全部 飲んで しまいました」
友?     :  「 博子さん」
友??    :  「かんにんやで, ひろこちゃん」

博子    :  「お父さんも  大変ですね」
母(安代 ) :「ふふふ, 大変 なふりしているだけよ. 今日だって, これから 一日免中 どんじゃんさわぎ.
           あんまり よろこんでると, ていさい 悪いから,  忙いぶってるだけ くようだ, くようだ なんて
           言ったって お酒 飲みたいだけなのよ, あの連中は 」
博子    :  「お母さん, 頭は?」
母      :  「えっ? あ-   あれね, けびょう」
            「なに? 」
博子    :  「いえ, 皆  いろいろ  たくらむもんだな-って」
母      :  「かわいいもんでしょ?   私のは 」
博子    : 「秋場さん達も何かたくらんでるみたいですよ.」
      
 ~ 家(藤井樹の家)の中
母   : 「全然遊びに 來て くれないんだから たまには,  顔 見せてよね 」
博子 : 「すみません 」
母   : 「途中までは やったのよ, でも  今日の 準備が あったじゃない.
        なんだか めんどうくさくなっちゃって 」

~樹の部屋~
「最近 ちょっと あかずの間 なの.  ほこりっ ぽくって ごめんなさい. 」
母   : 「博子さん, これ , 見てみる?」
博子 : 「卒業 アルバム?」
母   : 「うん 」
博子 : 「小樽 だったんですか 」
母   : 「うん, そう」
博子 : 「どのへんですか, 小樽の」
母   : 「 どこ だっけ, もうないのよ.  国道の下じきか なんかに なっちゃって 」
博子 : 「残念」
母   : 「あっ ここ, 卒業 する 前に 転校しちゃったから 」
博子 : 「でも おもかげ ありますね」
母   : 「なんか  今見ると ふきつな 写真ね.  あっ ケ-キ 食べる? 」
博子 : 「いいえ」
母   : 「こんしのうのよ」
博子 : 「じゃあ」
母   : 「何 たくらんでるの?  秋場さん達? 」
博子 : 「今夜 やしゅう かけるんですって 」
母   : 「やしゅう?」
博子 : 「夜 , こっそり おはかまいり するんですって」
母   : 「じゃあ, あの子 , 今夜 眠れないわね」

~ 藤井樹の家の前~
郵便屋 : 「あれ-   樹ちゃん,  今日ど-したのよ 休み? 」
樹     : 「風邪 ひいたのよ」
郵     : 「あっそう, 今年のは しつこいってよ」
樹     : 「誰かさん みたいね」
郵     : 「ね, あのさ 映画の チケットが あるんだけどさ, 一緒に行かない? 土曜日とかさ?」
樹     : 「行かない」
郵     : 「じゃあ 日曜は?」
樹     : 「あ- 寒い 」
郵     : 「樹ちゃんの あいている 日で いんだけど」
樹     : 「な-い」
郵     : 「あっ 樹ちゃん, 樹ちゃんってば, 手紙!! あら あら, 樹ちゃん, 樹ちゃん, 手紙.. 樹ちゃ-ん 」
樹     : 「何よ」
郵     : 「落 としましたけど....  ラブレタ-?」
         「樹ちゃん  樹ちゃん  來週は?」
樹     : 「渡辺 ひろこ? 誰だっけな?」
         「拝啓, 藤井樹様
           お元気ですか?   私は元気です.   渡辺 ひろこ」
         「なんだ これ?」
母     : 「何の手紙?  不幸の 手紙?」
樹     : 「ちょっと ちがうと 思うんだけど」
母     : 「おじいちゃん こ゛はん 」
樹     : 「神戸の渡辺さん, ままおぼえてない? 」
母     : 「渡辺さん?」
樹     : 「ほれ」
母     : 「あんたが 忘れてる だけじゃないの? 」
樹     : 「そんなこと ないって, 絶対 知らないもん」
         「渡辺 ひろこ, へんよこれ 絶対 へんよね, おじいちゃん 」
祖父   : 「どれ」
樹     : 「神戸に 知り合いなんか  いないぜ 私 」
母     : 「知らないわよ, あんた   病院 行かなかったの  」
樹     : 「うん, 行くほどのもんじゃないもん 」
母     : 「そんなの ひきはじめにしか 效かないわよじゃ, 明日は仕事行けるのね」
樹     : 「う-ん」
母     : 「行かないんだったら  病院よ」
祖父   : 「いつき それちょっと 見して」
樹     : 「病院に 行くくらいだったら, かこくな 労動を 取るわ 私は」
母     : 「こないだ 結婚した  娘は?」
樹     : 「うん」
母     : 「結婚して  名前 変ったでしょ. ほら そうでしょ 」
樹     : 「それは ...遠藤さん....  く~しゅん!! 」
母     : 「ん?」
樹     : 「ティツシュ」

~樹の部屋~
樹  :「わたなべ ひろこ、 わたなべ ひろこ、 わたなべ ひろこ、 わたなべ ひろこ、 はー もう いらつくなー」
     「拝啓,  わたなべ ひろこさま、  私は  元気です。 でも ちょっと  風邪 ぎみです。 」
 
樹  : 「拝啓, 藤井樹様
       風邪の  具合は いかがですか
       おくすり 飲んで  早く 治して 下さい。 わたなべ ひろこ」
      「はっくしゅん!!!」
 
~ガラス工場~  
秋場    : 「あー  私の  窓は ♫」
識員    : 「じゃあ、  先生 お先に」                    
秋      : 「あー きいつけてな」
識      : 「 ひろこさん お先に」
秋      : 「風に  乗って  走るは ♫~~  
           そっちの方は どーやった? 」
ひろこ  : 「え?」
秋      : 「ほうじの 方は? 」
ひろこ  :  「うん まあ いろいろと」
秋      : 「いろいろって?」
ひろこ  : 「いろいろって、 いろいろ」
秋      : 「なんか ええことでも あったんかいな?」
ひろこ  : 「えっ?」
樹      : 「なんか そんな 顔だで」
ひろこ  : 「えっ そうって なに 」
秋      : 「なんや、 そら,  こっちが ききたいわ」
ひろこ  : 「あの人の 家でね, 卒業アルバム 見せて もらったの」
秋      : 「卒業アルバム? 」
ひろこ  : 「そう 中学時代の  小樽に 住んでいたころの 」
秋      : 「うん 」
ひろこ: 「そのアルバムの最後の所にね, 名ぼが ついてて、 その中に, あの人の住所が あったの」
秋     : 「そら あるやろな」
ひろこ : 「うん, でも、今は国道になっちゃって、 もうないんだって お家が,   
         だから  今は もう ない  住所なの、 そうでしょ? 」
秋     : 「まあ そやな」
ひろこ : 「その住所に  手紙 書いて 送ったの」
         「あの人に あてて 」
秋     : 「そんな、 そんなん 書いたって  届かへんやろ」
ひろこ : 「届か ないから  送ったのよ  だって 天国に  送ったんだもん 」
秋     : 「また けったいなこと 思いつくこやな きみは」
ひろこ : 「でもね, そしたら  返事が  來ちゃったの」
秋     : 「天国から?」
ひろこ : 「そう」
秋     : 「そんな あほな」
        「拝啓 わたなべひろこさま、 私も 元気です.」
ひろこ : 「 不思議でしょ?」
 秋    : 「でも ちょっと 風邪ぎみです.  ふじい いつき」
         「ごんなもん、  誰かの いたずらやろ」
ひろこ : 「かも しれないけど, でも ちょっと うれしくて」
秋   : 「やっぱ あれやな、 やっぱり 忘れられへんのかな, 藤井のこどそんなけったいな
         手紙まで 書いて」
ひろこ : 「 秋場さんは? もう  忘れちゃったの? 」
秋     : 「そんな、 そういうことや ないやろ、 ほな おれと きみの  関係は どう 定義するの
           なあ なあ なあ ひろこちゃん なあって 」
        「おれ まじめな  話してんねんで 」
ひろこ : 「そんなこと  言うたかて よう わからへんがな」
秋     : 「都合の 悪い時だけ 関西弁 つかいはるもんな 」
............................
秋     : 「おー、 どないしたん 」
職     : 「あの、 ちょっと  忘れもんを」
秋     : 「 何を」
職     : 「いんです、先礼します」
秋   : 「見られて しもうたかな。 どないしょじやーないもんな、 これで きせい 事実成立ちゅ こどで
        手うって  
        藤井にな、 お願いしてきたんや, はかまいりの時、 きみと  結婚させてくれ ゆうて,
        ぼくも ええかげん あいつの ことは 自由に したったって ええんちゃう?  なあ きみも  自由に な          れよ」

~ 小樽~
樹 :「拝啓, 藤井樹様, 今日 帰り 坡道で 桜のつぼみが ふくらんで いるのを みつけました。
     こちらは そろそろ 春のけはいです.        わたなべひろこ 」
友人  :  「きてるは」
樹    : 「橋本集にあるでしょ?」
友人  : 「桜の木の下には 死体がうまっている」
樹    : 「あとさ、 ほら、坡口春子のさあ」
友人  : 「桜の森の満開の下」
樹    : 「やっぱ あれよね、 桜っていうのは そういうものよね」
友人  : 「そういうもんよ」
樹    : 「それに わかんなんない手紙でしょ、 風邪薬ではそれと桜ど春のけはい」
友人  : 「 絶対に 入院すべきよ この子」
樹    :  「入院してどー しょー」
友人  : 「ほっとくと、 ずっと 送り 続けて くるわよ。 この人   永遠によ」
樹    : 「あー」

~神戸 ~
秋     : 「拝啓 わたなべ ひろこさま.
         あなたはいったい誰ですか? お願いですから本当のことを教えて下さい。
         何言うてんねん こいつ、 自分で 勝手に 藤井に なりすましていて 」
ひろこ : 「まじだったら どうしょう」
秋     : 「まじって、 どういうまじ」
ひろこ : 「わかんないけど」
秋    : 「うん、  教えて みたら へんやな、 なんで そいつの所 ちゃんと 手紙 届くんやろ」
ひろこ : 「え! 」
秋     : 「この住所 もう 誰も 住んでないって 言うとつたよね 」
ひろこ : 「国道に なったって 」
秋  : 「でも ちゃんと手紙 届いているよ、 こいつ 国道の裏にでも住んとるんかな?」
ひろこ : 「まさか」
秋     : 「どない なっとるんやろ」
ひろこ : 「どない なっとるんやろ」
秋     : 「でも そいつか かりに  国道の上に 住んでるとしてやで」
ひろこ : 「え」
秋    : 「だから  仮によ。 仮に、 中央分離帯の 真中か かなんかに ほったて 小屋でも
         おったてて すんどったど しようや  だから  仮にや、 なっちょっと 聞いて、 仮に そういう
         ことが あったと  してやね。 郵便屋が その 手紙を 持って やって 來る。
         しやけどきっと郵便屋は そいつに 手紙は 渡たさん やろなの なんで? 」
ひろこ : 「 国道に 勝手に 住んじゃ いけないから? 」
秋    : 「ちゃうって、 だから それは 例え話や、 ほなこうしょうか かりに 国道は なんったとするわな、
        その代り、 藤井の家は まだ あるんや、 だれか 新しい 住人が 住んどると しようや、
        郵便屋が その手紙は 持って やって 來る、 そしたら、 その手紙は 届くやろか? 」
ひろこ : 「それなら 届くよね」
秋     : 「かーん、  届かへんよ」
ひろこ : 「どーして」
秋    : 「届くわけないやん、名前ちゃうもん, 郵便屋がその住所に手紙を持ってっても やで、
         表札違っとったら よう 入れんやろ」
ひろこ : 「なるほどね」
秋     : 「それは  国道でも 一緒や」
ひろこ : 「うん?」
秋    : 「国道の まん中に 家くが あっても, それが 山田さん家 やったら 手紙は 届かへんねん
         つまり 名前が 違うかぎり, こいつに 手紙が 届く こどは 永遠に あらへん ちゅ-わけや,
         ちゅ-ことやで,  待てよ,    こいつ ほんまに 藤井 樹 ちゅ-ことかな」
ひろこ : 「え-」
秋    : 「あ-, しかしな, でも せめて 藤井ちゃ-名前 やないと 手紙が 届か ないことやもんな 」
ひろこ : 「ね-」
秋     : 「うん, あっ ちょっとまって, 今なんか ひらめき そうや, あっ, うん」
ひろこ : 「うん, だから やっぱり 彼が 書いてるのよ」
ひろこ : 「それで つじつまが 合うじゃない」
秋     : 「そ-いうのは つじつまとは 言わんよ, ひろこちゃん 」
ひろこ : 「でも 夢は あるわ」
秋     : 「それは 夢は あるかも しらんけど」
ひろこ : 「うん, そ-よね, そ-しょ」
秋    : 「そ-しょ-や ないよ, そ-しょ-や ないよ, ひろこちゃん, ええよ, ええよ, ひろこちゃん そ-思ってたら
         ええやん. おれは, おれのやり方で 事 しんそうを あきらかに することに 全力を つくすさかい,            ちょっと かして, 貴重な証拠 ぶつけんやから」

~ 小樽~
友人 : 「もし あなたが 本当の 藤井いつきなら なにか 証拠を 見せて 下さい」
樹  :  「けんか うってるのかしらね, だいたい 最初に 手紙よこしたのは 向こうよ」
友人 : 「ねっ ちょっと 送ってみなよ」
樹   : 「何を?」
友人 : 「証拠よ」
樹   : 「どんな 証拠よ」
友人 : 「住民票の うつしとか」
樹   : 「なんで 私が そんなもの 提出しなきゃ なんないのよ」
友人 : 「じゃあ, 保険証は?」
樹  : 「私ね, もう これ以上 かかわらないことに 決めたの, いくら 手紙 來ても 相手して あげないわ」
友人 : 「いつき, にせもの 呼ばわりされて だまっている つもり?」
友人 : 「なんか, 指名手配の 写真みたい」

~神戸 ~
秋  :「これ, けさくやな, しかし 本まに 藤井樹ちゅ-のが おいたんやな, や, おれの作戦も大成功やね.
      あっ 実は おれも こっそり こいつに 手紙 書いてあったんや.
      おまえ ほんまに 藤井樹ちゅ-やったら 証拠みせろってな.
      しやけど, こんなん 送って 來るとは, 敵も さるもんやで. それでな, ひろこちゃん,
      小樽 行って み-へん? おれのつれにな, やっぱり 小樽でが  ガラスやってるやつが おるんやけど,        そいつが 展らん会やる ゆ-って 案内くれたんよ, めんどくさいから 断ったろ- 思ったんやけど,
      こっちょ-ど ええやん. まあ, せっかく やから, 小樽っ 行って 敵の しょうたい あばいて み-へん?」
ひろこ : 「 敵じゃ ないよ」
秋     : 「うん?」
ひろこ : 「敵じゃなかったのに, ひどいよ秋場さん, でも もうこれで 最後, みんなおしまい」
いろこ : 「風邪 治ったのかな? あの 風邪薬のんで くれたのかな? 」
秋     : 「ひろこちゃん」
ひろこ : 「あの人の 手紙だったの, そう 思いたかったのでも もういい」
秋    : 「こんなん 來るから いかんねん, 藤井なわけないやん あいつが 手紙 書けるわけないやろ,
         つらいで, ひろこちゃん, いっつも その 席に すわりおるしな, おれと あいつが 最初に きみに
         おうた 時も やっぱり そこ 座って たもんな. あいつ 初対面の きみに いきなりつきおうてくわって           言ったの おぼえてる? 最初に さそったのは おれやで, それまで 女の子なんかと
         口も よう きかんやっやったんや. やっぱり あの時 おれが 最初に くどく べきやったな.
         もし. そ-なっとったら, おれら どない なっとったんかな?  小樽 行って み-へんか 探して みよう,           もう 一人の 藤井樹 .」

~小樽 ~
秋    : 「あ- わかったよ こっち こっち」
       「すぐ そこやって」
秋場の友 : 「よっ 秋場 」
秋    : 「お-」
友    : 「久しぶりやな」
秋    : 「かわらんな, おまえ」
友    : 「あ-藤井の, そ-ですか」
ひろこ: 「御存知 なんですか? 」
友    : 「そりや もう あいつのことは うんざりするくらい 知っとるは」
秋    : 「小さな 大学やったからな」
友    :「でも あにつが 小樽 出身っていうのは 初耳やで」
秋    : 「おれかて, 知らんかったよ」
男    : 「その 藤井って, ひょっと して 藤井樹の こと? 」
友    : 「お前 知ってんのかよ」
男    : 「いや いや そいつ おれの 幼な なじみ すよ.」
友    : 「はっはっ-, せまい 町やな, ここは」

~樹の家 ~
母    : 「また ぶりかえしたのね」
樹    : 「 今日 休む」
母    : 「だったら 病院 行きなさいよ」
あらかつ : 「おはよう さんです」
母    : 「は-い」
樹    : 「あらかつさん」
母    : 「そう, 新しい マンション みつかったんだって」
樹    : 「い- な-, 私も 行きたい 部屋 見る くらいなら 平気よ」
あらかつ : 「あっ 少し 早すぎましたか?」
母    : 「あつうん 大丈夫 」「いつき, すぐ 出れる?」
樹    : 「あん」
あらかつ : 「おじいちゃん, まだ 引越し 反対なんですか? 朝から あんな 土いじりしてて, なんか種 まで             まいていましたよ.  やっぱり なごり おしいのかな-?」
母   : 「老人の 昔なつかしに, つき合うわけにも いかないでしょ, あと 5-6年で 天しょうが くずれるって            言ったのは あなたよ」
あらかつ : 「あっ それは 間違いありません. 今 だって よく 住めるなって 状態ですよ.
           はっきり 言って」
母       : 「そこまで 言われる すじ あいは ないわよ」
あらかつ : 「いや, え-, たとえて 言えばって いうかね」
樹       : 「ねえ, ちょっと 暑いんですけど」
母       : 「だまって なさい」
あらかつ : 「樹ちゃん 風邪 ばかに できないよ まりも 電気 知ってます?」      
樹       : 「まるさの丘の?」
あらかつ : 「そうそうそう あそこの ご主人ね, うちの おとくいさま なんだけど こないだ 風邪 こじらせちゃっ             てね ふだん 風邪 ひかない 人 なんだけど ひい ちゃって これ 鬼の かくらんだね. なんて             笑ってたら」
あらかつ :「こじらせてて, とうとう 肺炎」

樹       : 「死んだの」
あらかつ : 「まさか 肺炎くらいじゃ 死には しないけどさ」
樹       : 「うちの パパ それで 死んだじゃん」
あらかつ : 「えっ? 肺炎だっけ お兄さん」
母       : 「風邪 こじらせて 肺炎 忘れちゃったの」
あらかつ : 「あ, いや, そ-だったよね, いつ頃でしたっけ, お兄さん 亡くなったの」
母      : 「それも 覚えてないの? 仮にも あなたの にょぼの あにきよ.
           皆 忘れちゃうのね, 死んだ 人の ことなんか」
あらかつ : 「いや」
母       : 「親を 肺炎で 亡くして おいて...
            全然 こりない 子も いるしね」
樹       : 「何 ここ?」
母       : 「病院よ」        
樹       : 「もう」
~道路~
大友  : 「そっか , しまった 5号線か」
大友 : 「いつだっけな, 聞通したの, 中学は 学区が 別々だったから,
       (樹の 引越ししたのも 知らなかったんすよ. 幼ななじみ)
       あっ そのあたりが 玄関かな?」  
秋場  :  「がらがら, あっ おじゃまします
          大友さん, へんな 話ないすけど, あいつと同じ名前の人 知りせんかね?」
大友  :  「へ?」
秋    :  「あの,  藤井と 同じ 名前の 人」
大友  :  「知らんね」             
秋    :  「知りません?   ひろこ ちゃ-ん , 何してんの?」
ひろこ:  「ここに 送ったんだね」
秋場  :  「え-?」
ひろこ:  「 最初 の 手紙」
NS   :  「細井さん, 細井たきさん」
Pt    :  「はい」
NS   :  「藤井さん, 藤井 いつきさん」

~回想~
樹   :  「パパ?」
母   :  「いつき, 何してるの?」
NS  :  「藤井さん, 藤井  樹さん
          藤井  樹さん ,藤井  樹さん   いきませんか」
両藤井 樹さん: 「はい」 \「はい」
樹(女)  :   「はい」
秋     :   「このへんやな, ちょっと そのへんで 聞いて みるわ」   
ひろこ :   「藤井 ?」
秋     :   「ええ, ごめんください. 平気やって, 防衣の はじは かきすてや
            言うやん, すいませ-ん,  すいません, こちら  藤井さんの お宅ですよね」
樹の祖父:  「そうだが,」
秋場  :  「藤井 樹さんの  お  ですよね . あれ?」
祖父  :  「 樹は 出かけて おります」
秋    :  「そうですか.」
祖父  :  「う-ん. じきにね,  戻ると 思います」
秋場  :  「あっ, じゃあ, 外で  持たせて もろうても かまいませんかね」
祖父  :  「中 入れば いっしょ」
秋    :  「いや, 外で  持とうと 思います.」
        「結構 crazy やな, おれたち」
ひろこ:  「拝啓 藤井  樹 様
          あなたに 会うために, 小樽に 來ました.
          今  この手紙を あなたの 家の 前で 書いています.
          私の 知っている 藤井 樹は あなたでは ありませんでした.
          ここに 來て ようやく 全てが はっきりしました.
          私の 藤井 樹は 男性です. そして 昔, 私の  恋人だった 人です.
          彼は 2年前…….」
        『いこうか』
秋    : 「またへんの?」
ひろこ  :  「うん」
        「彼は 今 どこに いるのか わかりません.
          ただ 時時 思い 出すんです.
          どこかで 元気で やって いるかなって 思うんです.」
秋    :  「あっ -, あかんは」
        「まあ, ちっちゃい 町や, すぐ 繁か街に 出るやろ」
ひろこ  : 「そんなつもりで 書いた 手紙でした.
          だから どこにも 居かなくて よかったんです.」
秋    :  「なあ」
ひろこ:  「うん」
秋    :  「さっき  書いとった 手紙, なんで うそ 書いた?」
ひろこ:  「うそって?」
秋    :  「あいつが 死んだ こと 書かへんかったやろ?」
ひろこ:  「うん, どうしてかな? なんとなく 物そうな はなしでしよ?」
秋    : 「物 そうな  話か, そ-かもな. あっ こりゃ ラツキ-やで」
樹    : 「拝啓 ,  藤井 樹 様
         この手紙を あなたの 家の  前で 書いてます」
タクミ ドライバ-   :  さっき  そこの 登り坂で 手あげてたでしょ,
                 今上で お客さん 降ろして  あわてて  Uタ-ンして 來たんですよ」
秋        : 「それは うれしいね」
ドライバ- : 「あれ, なんか お客さん 今 さっき 乗っけてた 娘に よく 似てるな」
秋        :  「あ, おれ」
ドライバ-:「違いますよ.隣の おじょうさん .いや 似てるな-」
樹    :  「あなたには 大変 ご迷惑を おかけしました. 本当に すませんでした
          彼と 同じ名前の あなたに 会って みたくて, ここまで 來たけど」
樹    :  「今う 勇気が 出ませんでした. 思えば 手紙だけの あいだからでした.
          手紙だけで  失礼させて 頂きます.
          同じ 名前…」
  ″    「拝啓 わたなべ ひろこさま.   
         何も 事じょう 知らずに. ひどい 手紙を 送って しまいました.     
         かんべんしてくたさい. その 代りに いっだけ 耳よりの 情報を 提供します.」
秋場の友 : 「は,  は, また いつでも 來いや」
秋      : 「ああ, おまえも たまには まっ神戸 帰って 來いや,            
            なにか    言葉 おかしゆ- なっとんぞ」
友      :  「そうか それより  中村 どない しとんねん」
秋      :  「中村? 連絡 來ないか?」
友      :  「全然も あいつ 電話も かかって き-へんのや」
秋      :  「そしたら 帰ったら ゆ-とくは,
             たまには おまえの ところにでも 電話せしゅ-てな」
友      :  「たばこ 買わな いかん」
秋      :  「たばこな-」
ひろこ  :  「 藤井さん」
樹      :  「その代り いっだけ 耳よりな 報告を 提供します.
            じは, 私が中学の頃, 同じ クラスに同姓, 同名の男子がいたんです.」
樹      : 「ひっとしたら, あなたの 藤井 樹っていうのは あいつの ことではないでしようか」
あら    :  「あああ, ここだ!! ここです ここ, ここの 3階室,
           これ, 結構 見晴らしも いいっすから」                     
樹      :  「せまいよ」        
あら   :  「それは いつきちゃん, あの家にくらべたらね.                              
           あの 家が 広すきんのよ」
母     : 「まあね, 2部屋も あそばせちゃってるからね」
あら    : 「では  」
 母     : 「下宿人でも おこうかしら」
あら    : 「姉さん,そんなこと 老んてると また 引越しのびちゃいますって」
 母     : 「また どたんばで  キャンセルさせたら たまんないもんね」
あら  : 「うふふふ,  あの,
        どうでも いいですけど 結論は 早日に, これ結構 人気の物件ないで」
 母   : 「結論は 出てるのよ, あとは おじいちゃんを どう 説得するか だけなのよ」
 母   : 「どの 道 あと 数年で とり こわさなきゃいけないのは わかってるでは おじいちゃん.
        決めちゃいますからね」
祖父   :  「おれは 反対だ.」
母     :  「ちょっと 座って 下さい. 座って 話 きいて 下さい」
祖父   :  「もう わかった」
母     :  「わかってないじゃない」    
祖父   :「おれが 反対したって, ど-にも なりね-べや」                        
母     :  「そうよ」  
祖父   :  「じゃ, 引越すしか, しょうが ないべ」    
母     :  「もう, もうらく じじい.  あれ?    今 おじいちゃん  引越すって 言った?」
~樹の  家  ~
樹の母 :  「何 調べてるの,  そりな しんけんな 顔して」
ひろこ :  「えっ, ちょっと」
ひろこ :  「彼の 同級性に  同じ 名前の人が  いたんですか?」
母   :  「うん, さあ--? いたかな?」
ひろこ :  「この 娘」
母    :  「うん? どれ! う-- うんうん... 覚えてない」               
ひろこ :  「似てますか  この写真?」
母    :  「え--?」    
ひろこ :  「私に 似てますか」
母    :  「ひろこさんに 似てるかな?」
         「似てると ど-なるの?」
ひろこ :  「は--?」
母    :  「似てると  何かあるの?」
ひろこ :  「いや 別に」
母    : 「うそ!!」
ひろこ :  「本当です」  
母    : 「ひろこさん, 顔に うそって  書いてある
          似てると ど-なるの?」
ひろこ :「似てたら, 許せないです. それが 私を 選んだ 理由だとしたら, お母さん! 私ど-しましょう,
        あの人 私に ひとめぼれだって言ったんです. あたしも それを 信じてました.
        でも ひとめ ぼれには ひとめ ぼれの わけが あるんですね. だまされました. 私! 」  
母     :  「ひろこさん, 中学生の娘に やきもらやくの?」         
ひろこ :  「そうですよ, へんですか?」            
母     :  「あの子 幸せね,  あなたに そんなに やきもち やかれるなんて,
           ひろこさんも まだ あの子の こと 好きなのね.」
ひろこ :  「そんなこと 言ったら.  また 泣いちゃいますよ」

~小樽 ~
樹  :「お元気ですか? あなたの 言う 藤井 樹と 私の 藤井 樹は やっぱり 同一人物のようです.
      実は この 手紙の 住所は, 彼は 卒業アルバムの 中から 見つけたんです.
      全全は 私の そそっかしい かん ちがいでした. 本当に ごめんなさい. ところで こんなに 迷惑を
      かけて おいて,  お願いするのも ずうずうしい事なんですが, もし 彼に ついて 憶えて いる ことが        あれば おしえて 頂けないでしょうか.
      
     拝啓 わたなべ ひろこさま.
     たしかに, あいつの ことは よく 憶えています.
     でも 彼との 思い出は, その ほとんどが 名前に まっわる もの ばかりで, と言えば だいたい 想像が       つくと 思うけど それは たぶん, あんまり いい思い出とは 言えないものばかりなんです.
     入学式の 日からして , すでに そうでした...

~回想~
先生  :  「圧司  勝利 」
圧司  :  「はい 」
先生  :  「田中 きょう 介」
田中  :  「はい 」
先生  :  「服部 かずとも 」
服部  :  「はい」
先生  :  「藤井  樹」
藤井  :  「 はい」/ 「 はい」
先生  :  「同姓同名か」
生徒 1:  「初めて 見た」
先生  :  「村岡 しのぶ」「村岡」
村岡  :  「はい」
 樹   :  「こんな 調子の くるった スタ-トを きってしまった. 私の 中学生活は 以後も あいつの せいで,            不当な 差別に 満ちあふれた 暗い 3年間に なって しまったのです」              
         「例えば 日直の 時なんか....」
女    : 「藤井くん、明日の日直 誰だっけ?」
男    : 「村岡と船橋」
        「今日の数学って何だっけ?」
女    : 「方程式?」
男    : 「何 方程式?」
生徒達: 「藤井樹 あついねー あついねー 失礼しました。」
女    : 「連立方程式.」
男    : 「Thank you.」
樹 : 「こんな日々も 1年のしんぼうかと思ったら 私達はなんと3年間ずっと同じクラスになってしまったのでした。       はたで 聞いている分には おもしろいでしょ。 でも 当入達には けっこう つらい日々でした。
     お互いなんとなくさけ合って、   あんまり 話をした おぼえも ありません。」

- 図書館 -

友人 : 「あれからど-うした?」
樹   : 「え?」
友人 : 「手紙」
樹   : 「あー、 ぼちぼち」
友人 : 「ぼちぼちって?」
ひろこ: 「拝啓、 藤井樹さま。
       彼はどうだったのでしょう? 同じ名前の女の子に、 どこか 運命的なものを 感じていたのでは 感じて         いたのでは ありませんか?」
樹 : 「それはありえないわ、 あなたはなにか ロマンテックな 空想にひたってるようだけど、
     現実というものは もっと さつばつとしたものよ。 私達の関係は 例えれば アウシュビツ中の
     アダムとイブってどこかな? 繰り返される ひやかしのごうもんに 生きたここちもなかったは。
     クラス委員選挙の時の あの事件のことなんか、 思い出すだけでもいまわしいもの。」
生徒 : 「遠藤さん。」
樹 : 「投票用紙の中に こんなふざけだのが 1枚だけまじっていたんです。 それを 開票係の稲葉が
     わざわざ こう 読みあげたの。」
稲葉 : 「藤井樹 ハート 藤井樹」
樹  : 「ところが、 それだげじゃ、 終わらなかったわ クラス委員の選挙の後は 客しゅ専門委員ってやつ。
      放送委員とか その 最初が図書委員選挙でした。 なんか いやな 予感はしたのよ。」
生徒 : 「えー図書委員は 藤井樹コンビに 決定しました。」
生徒 : 「あ、 ちょっと こいつ 泣いちゃってるぜ。」
クラスメイト : 「ないちゃってるよ。」
クラスメイト : 「ないちゃってるよ。」
クラスメイト : 「まじかよ。」
クラスメイト : 「まじ、 まじ」
クラスメイト : 「おまえ、 何か言ったんだろう。」
稲葉   : 「愛の勝利でした。 パチパチ...... あ、 聞こえちゃった、 ごめんごめん! 冗談, 冗談,
         やめろ、 てめえ, この野郎, うざけんなよ。」
女子生徒 : 「藤井くん、 やめてよ、 藤井くん、 はなしなよ、 やめなよ、 皆 止めてよ。」
樹 : 「彼の暴動も むなしく、 結局、 私達は 図書館 送りに されました。 でも、 あいつは 任事を さぼって        ばっかりで、 ほとんど 働いてくれませんでした。」
     「藤井くん、 ちょっと、 こっち やって下さい。」
樹 : 「あいつ, とにかく たくさんの本を かりて行くの, それも 青木こうようの伝記とか アンナルネの詩集とか        いう たぐいの本, ようするに 誰も かりないような 本ばかりだったの。」
女 : 「こんなの読むの?」
男 : 「読むわけじゃん。」
     「藤井樹 ストレートフラッシュ。」
樹 : 「ようするに あいつは, 誰も かりていない 白紙のカードに 自分の名前を
     書くのを 樂しんでいただけなの あきれた 私は、 彼に こう 言いました。」
女 : 「ばかじゃない。」
樹 : 「でも、 彼には この いたずらが、 よっぽど お気にめしていたみたいで、 あきもぜす しょっちゃう やって        いました。 とにかく、 へんなやつでした。」
ひろこ : 「拝啓, 藤井樹様.
        お手紙 深く感謝しています。
        あなたの思い出の中に 住んでいる彼は、 もちろん私の知らない彼です。
        でも、 やっぱり 彼なんです。
        きっと そんな 彼がいた場所や時間は もっと たくさんあって、 私が知っている 分ないかほんの
        わずか なんですね。 あなたの手紙を 読んでそんなこと感じました。
        どうかもう すこし お話を 聞かせて下さい。 あなたの思い出を わけてください。」
樹 : 「なんだか 私の脳みそ小包みにして 送って あげんのか? 一番 早そうね。」

- ひろこの家 -

ひろこ : 「あれは たしか 2年の期末 テストの時、 答案を 手にした 私は立ち直れないぐらいの
        ショックを 受けました。」

ー 回想 -  中学2年のクラスにて

樹 : 「27点, この 27っていう 数学は 今だに 忘れられないわ ところが、 よく見るとこれが 私の答案じゃな       かった。 という ことは あいつが 裏に ごりごり 落書きなんか 書いてるやつが 私の答案のは
     ずでした。 それが長い1日の始まりでした。」
     「私の答案 返して」
     「その一言が どうしても 言えない ばっかりに 勝負は 放課後へともちこされたのでした。」
生徒  : 「前田先輩, あの かずみが 前田先輩と つき合いたいと言っているんですけど...。」
かずみ : 「あの 友達としてで いいんです。」
        「あーぁー」
生徒  : 「なんだこらー、 前田!!」
        「ねっ、 やめちゃいな。」
樹    : 「あの頃, 放課後の自転車置き場と言えば、 恋人達のメッカでした。」
生徒  : 「あれ、 藤井じゃん、 以外だなー。 やるじゃん。」
樹    : 「それは隣のクラスの 及川さなえでした。」
及川  : 「あなたも 誰か 待ってるの?...」
       「恋愛はつらいはね、 男って勝手よね。 そう思わない?」
樹    : 「あのー どうぞ。」
及川  : 「ありがとう。」
及川  : 「でも、 でも、 女の方が もっと ずるいもんね。 がんばってね、 お先」
樹    : 「つかの間の 相ぼうを 失った私は、 また 1人であいつがくるのを 待ち続けたのでした。」
女    : 「ね、 ちょっと 今日の英語の答案 間違ってなかった?」
男    : 「え?」
女    : 「これ、 藤井くんのじゃない。」
男    : 「暗くてよく見えねよ。」
女    : 「早くしてよ。 手がつかれてきた。」
男    : 「そうか breakの過去形で brokeか。」
女    : 「ちょっと、 こんな ところで 答え合わせなんか しないでよ。」
男    : 「おい見えねよ。」

ー 樹の家 -

樹 : 「あった、 なんだこれ、 最低, そのいわくつきの答案を 見つけたので 送ります。 裏の落書きは
     あいつのじき筆です。」
ひろこ : 「拝啓, 藤井樹様
        じき筆入りの答案用紙 ありがとうございます。 大切にします。
        ところで 彼は どんな 女の子が 好きだったんでしょう。
        たとえば、 初恋の相手なんて 心あたりは ありませんか?」
樹   : 「拝啓, 渡辺博子様
       そこまで 彼のプライベートにかかわる データは 私には ありません。」
       「あれで 結構 あいつもてたからなー。」
       「教えていますか? 及川さなえ? あの子がからんで、 こんなひともんちゃくがありました。」
及川 : 「い-つき、 藤井くんてさ、  誰かつき合っている人 いるの?」
樹   : 「知らないわよ、 それなの!」
及川 : 「よーし。」
樹   : 「なによ。」
及川 : 「だって あなたたち 仲良さそうだから。」
樹   : 「冗談 言わないでよ、 なんで、 そーなるのよ。」
及川 :「愛を感じないの 彼に、 なんだったら、 私が 愛の キューピトになって あげてもいいよ。」
樹   : 「お断りします。」

ー 体育の授業にて ー

先生 : 「各自 ペアに なって 背中を あわせて、 じゅうなん 体そう はじめ。」
及川 : 「本当に つき合って なかったのね、 あなたたち。」
樹   : 「だから、 そういったじゃない。」
及川 : 「彼に直接 聞いちゃった。」
樹   : 「えーっ!」
及川:「せっかく あなたのために、 愛の キューピトに なってあげようと 思ったのに、すっごい 残念
       だから、 今度は あんたが 私の キューピトに なる番じゃない?」
樹   : 「なにそれ。」
及川 : 「私と 藤井くんとの仲 とりんって ほしいの。」
樹   : 「何 言ってるのよ。」
及川 : 「私ってさ、 なにするか わかんない 女でした。」

ー 図書館 -
女   : 「及川さなえがね、 あんたと 友達になりたいみたいよ。」
男   : 「ふ-ん、 そう。」
女   : 「そう。」
男   : 「別に。」
女   : 「別にって どっちよ。」
男   : 「どっちって, なあ。」
女   : 「いやなの? 誰か ほかに好きな女でもいるの? いるの?」
男   : 「いねーよ。」
女   : 「じゃあ、 いんじゃん。」
及川:「ちょっと、 ちょっ、ちょっとまって、 心の準備がまだなってないから、 ちょっとまって、          
       ちょっ、 ちょっと、 ちょっとまって。」
       「あなたは ここで 結構よ。」
       「男と女は これの くり返しよね。」
樹   : 「というわけで、 及川さなえが、 恋人じゃなかったことだけは 確かです。
       いずれにせよ、 あんな 不あいそうな男に、 まともな 恋人なんか 出来るはずないんじゃないかな。           あっ、いやいや これは あくまで 中学時代の彼についてです。」
       「渡辺 ひろこ様 1つだけ 質問.
        あなたは あいつの どこが よかったの。」


ー サラス工場 in 神戸 -

稷人  : 「おまたせして どうも すみません。 先生じきいらっゃいますから、 ひろこさん。
        私、 秋場先生のこと 好きだったんです。 ひろこさんや思うたから、 あきらめたんですよ。
       私、 ひろこさんのことも好きやし。 どうか 先生のこと 辛せにして あげてください。
       あっ、 先生が ひろこさんのこと 辛せに して あげなきゃ いけないっですよね。
       先生に そういっておきますね。」
秋    : 「♬あー、 清い風 きいて走れ、 あの島へ♬
        なあ、 一度あの山 行って みーへんか あいつに、 あいさつしてこようや、 なっ。」
ひろこ : 「うん。」

- 図書館 -

友人  : 「いつきっ、 ちょっと。」
いつき : 「今日, 具合い悪い、 まかせた。」
友人  : 「いつまで、 風邪 ひいてる気よ。」
いつき : 「思い出すと、 結構 出てくるもんです。 こんなこともありました。
        あいつ 通学中に トラックに せっしょくして 救急車では こばれたの。
        あの日は なかなか けっさくだったわ。」

ー クラスにて ー

先生 :「えー、今期, この クラスの藤井樹が 事故に あった。 まだ、 しさいは わからないが。」
先生 : 「山口先生も 病院に 行かれてますので、 今日の ホームルームは私が.........
        藤井, おまえなんで ここに いるんだ。」
藤井(女) : 「は?」
先生 : 「実習」
樹 : 「あいつは、 左足を複雑骨折 しかも それが、 陸上競技大会の 1か月前, 彼は      
      100mの選手だったんです。」

ー 陸上競技大会 会場 -
生徒(女): 「ね、 そのカメラよく見えるの? みせてよ。」
生徒(男): 「なにすんだよ、 かえせよ。」
生徒(女): 「いいじゃない。 ねえ、 この カメラ 見て」
樹     : 「見えるの。」
生徒(女): 「うん。」
係の人 : 「いちについて。」 「用意.」
  “    : 「君だめじゃないか。 どこの中学校だ、 どこの中学校だ。」
選手   : 「なんなんだ。 あいつは, もう 1回やって くれよ。」
生徒(女): 「なにやっとんだあいつ。」
樹     : 「これ ど-やって ピント あわすの。」
生徒(여): 「ちゃんと見てなかったの?」
樹     : 「それが あいつの 中学最後の スプリントに なったのです。」

ー 樹の家 ー
郵    : 「あれ、 今日 休み?」
いつき : 「ちょっと 勝手に 入って 来ないでよ。」
郵    : 「やっ、 今日 例外」
いつき : 「例外 なんて 許さないから。」
郵    : 「いたい、 これ、 ハンコ ください。」
ひろこ : 「拝啓, 藤井樹様.
        彼の走っていたグラウントの写真をとってください。」

ー 学校 -
 
先生 : 「どちら様ですか?  部外者の方? 」
樹   : 「浜口先生, もと3年2組の。」
先生 : 「藤井さん?」
樹   : 「そうです。 憶えてますか?」
先生 : 「3年2組 藤井樹, 出席番号が.......24番」
樹   : 「すご--い、ど--して。」
先生 : 「そう、 市立図書館で 働いているの。」
樹   : 「なんの 因縁か そうなっちゃって。」
先生 : 「じゃあ、 ここの任事も無駄じゃなかったわね。」
樹   : 「ええ、 好きでしたから、 図書委員.」
先生 : 「今日はね、 書棚整理なの。」
樹   : 「なつかしい。」
先生 : 「皆, 集まって、 あなたがたの先輩の藤井さん。」
樹   : 「こんにちは。」
生徒 : 「すごい、 藤井樹さん。」
先生 : 「なんで 知ってるの?」
生徒 : 「うそー。」
生徒達 : 「私達の間で、  藤井樹探しゲ-ムっていうのが はやってて、 ねっ、  ねっ。
         最初 誰が見つけたっだっけ? 久保田, 久保田, そうそう。
         そのうち、 何冊も みつかってね。 誰が一番 たくさんみつけられるかって 競争に     
         なって、 ね、 ね。 得点表までつくったんですよ。 どこやったっけ、 最近は ちょっと ブームは
         したびだったんですけど、 何枚 くらい みつけたっけ? えーとね、 今のところ 87枚」
先生   : 「あら、 そんなに。」
生徒達 : 「でも、 まさか 本人に 会えるとは 思わなかったよね。」
樹     : 「これね、 私が書いたわけじゃないのよ、 友達がいたずらしてやったの。」
生徒達 : 「それって 男子ですか。」
樹     : 「そう。」
生徒達 : 「その人 よっぽと 先輩のこと好きだったんですね。」
         「だって、 こんなに たくさん 先輩の 名前 書くなんて
         その人と 先輩 つき合ってたんですか?」 「すご--い。」
樹   : 「え、 ちがうのそれは誤解。 これは 私の名前じゃなくってね。」
       「ちがうのよ、 だから。」
樹   : 「こまったなあ、 もう。」
先生 : 「大変よ、 あーゆうの相手に こっちは 毎日だもの。」
樹   : 「本当ですね。」
先生 : 「でも、 誰? あなだを好きだった男子って? カードに あんな いたずらしたの。」
樹   : 「先生まで。」
先生 : 「いいじゃない。」
樹   : 「あれ、 私の名前じゃないっです。」
先生 : 「えー?」
樹   : 「ほら、 もう 1人いたでしょう、 藤井樹って。」
先生 : 「あーあ、 あの男子の。」
樹   : 「あいつの しわざなんです。 出席番号 憶えていますか。」
先生 : 「9番.」
樹   : 「すごい、 今一瞬でしたよ。」
先生 : 「あの子は特別よ。 死んだでしょう 2年前に、 山で、 遭難して。」

ー 電車の中 - In 神戸

秋  : 「よっし、 あついね。」
      「あと、 1駅だな。」

ー 父のそう式後 -

母  : 「なーに?」
樹  : 「トンボ、 パパは死んだんだ。」

ー 山にて ー

秋 : 「この先には、 知り合いが おんねんかじさん 言う 名前やねんけど 皆かじおやじ、 かじおやじって           呼んでる。 地震, かみなり、 火事, おやじ 言うやろ。 それで かじおやじやねん、 今晩は その
      かじおやじのところ 泊めてもろうて、 明日の朝の山に出発や。
      ほら、 あそこ、 お山のてっぺんがみえる、 どないした?」
ひろこ : 「だめ、 やっぱりだめ。 なにやってるの 私達.
        こんなの いいわけないじゃない。 いいわけないんだよ、 あの人に おこられる。」
秋場  : 「そんなことないって。」
ひろこ : 「帰えろ。」
秋場 : 「何の為に来たんや、 ふっきる為やないか、 ふっきらなあかんねんて、 ひろこちゃん。」.
ひろこ : 「お願いします。 帰らせてください。」

ー 樹の家 ー

母   : 「どうしたの、 はかったの?  何度 だった、 どれ いつき? いつき? 41.8度」
       「おじいちゃん、 おじいちゃん、 おじいちゃん、 救急車, 救急車 呼んで、 それから      
       毛布, 毛布持って来て。 おじいちゃん、 毛布.」
祖父 : 「いつき。」
母   : 「おじいちゃん、 毛布は.. 119番電話した?」
祖父 : 「毛布か。」
母   : 「救急車が先.」
祖父 : 「意識は。」
母   : 「今、 はこぶから。」
祖父 : 「先に。」
母   : 「いいから119番.」
祖父 : 「1時間, なに言ってんだ、 そんなに かからないベや、 雪?」
母   : 「救急車は。」
祖父 : 「もう待ってられん。」
母   : 「えっ。」
祖父 : 「毛布持って来い.」
母   : 「ちょっと、 どこすんのよ。」
祖父 : 「そこらで タクシーつかまえたら、 15分で 病院だ。」
母   : 「タクシーは ダメ!!、 つかまるわけないわよ。」
祖父 : 「ダメだったら 歩く。」
母   : 「何 ばかなこと言ってるのよ。 そんなのダメよ、 救急車呼んでよ。」
祖父 : 「1時間かかるって言ってるんだ。」
母   : 「なんで。」
祖父 : 「外 見てみろ。」 「毛布はどうした。」
母   : 「もしもし、 先ほど お電話した藤井と申しますが、 はい、 ええ、 氷でひやすのは
       やっています、 はい。」
祖父 : 「おいとこに電話しているんだ。」
母   : 「おじいちゃん、 いつきを ソファに ねかせて、 あっためるのが 大事なんですって。」
母   : 「すいません、 それから。」
祖父 : 「おい。」
母   : 「だから おじいちゃん いつきを ソファに ねかせてって 言ったじゃないの。
       あたためるのが 大事なのよ。」
祖父 : 「応急処置は さっき 聞いたよ。」
母   : 「したらその通りにしてよ。」
祖父 : 「そんなことしたって 救急車は 来ないぞ。」
母   : 「来るって言ってるわよ。 1時間くらいで どんどん ひどくなってる。 これからも。」
祖父 : 「どんどん ひどくなるぞ。」
母   : 「一時間で 来ますよね、 来ますよね。」
母   : 「おじいちゃん、 いつきを おろして。」
祖父 : 「いいから 毛布を 持って来い。」
母   : 「タクシーは ダメ!!。」
祖父 : 「早く持って来い。」
母   : 「この娘 まで殺ろすつもり しっかりしてよ、 おじいちゃん。 あの人の時どうだった?
       119番の言うこと 聞かないで、 勝手に タクシー ひろいに行って、 結局(タクシー)
       つかまらなかったでしょう。 それで、 全然 おじいちゃん あの人を 皆負って 病院まで
       歩いたのよ。 おぼえてる? それで、 手当てが 遅れて それで 死んじゃったんでしょう。
       あの人, また 同じ事くり返して どうするのよ。 こういう時は、 専門家の指示にしたが        
       わなきゃだめなの、 ねぇ、 わかるでしょう。」
祖父 : 「あの時, 病院まで 何分かかった、 何分だ。」
母   : 「1時間, 1時間はかかったわよ。」
祖父 : 「かかっとらん。」
母   : 「かかったわよ。」
祖父 : 「40分, あの時は40分だった。」
母   : 「もっと かかったわよ。」
祖父 : 「いいや、 かかっとらん、 正確に言えば、 家を出て病院の玄関まで38分だった。
        それでも、 間に合わなかった. どっちにしても手遅れだったんだ。
       今, ここを 出れば、 救急車が来る前に 病院に たどりつくだろう。」
祖父 : 「どうする、 いつきはお前の娘だ、 お前が決めろ。」
母   : 「こんな雪の中 歩くなんて無理よ。」
祖父 : 「歩きはせん、走る。」

- 山小屋 -

秋   : 「今晩一晩だけ ここに 泊まろう ねぇ。」
がじおやじ : 「しげ。」
秋   : 「なんやねん、 その顔. なっ みるからにかじ おやじだろ?」
がじ : 「ほんま おしいことしたな-あ、 なんで ええやつほど 早よう 死ぬんかな-あ。」
秋  : 「かじおやじもな、 あの時の仲間なんや あのそうなんの時の。」
かじ : 「でも、 あの時は、 もっと 毛がありました。」
秋場 : 「あった、 あった、 もっと たくさんあった。
        でも、 おやじは 立派やねん、 あの そうなんが あって 以来 ここで
        山登りの連中の世話を しとるねん。」
かじ : 「いや、 遭難したおかげでね。 あの山のこと 誰よりも くわしゅう なって もうて、
      そやけと、あの山に登ぼる連中に あそは 危ないやのこの天候は 気をつけた方がいい        
      や、 口やまかましく 言うもんやから、 けむたがられてるんですわ。」
秋   : 「えらいよ、 おやじは、 おれないか逃げ出してしもうたもんな、 山から。」
かじ  : 「又, 登ぼりたいんか。」
秋   : 「うーん、 でも ムリだな。」
かじ  : 「どうして。」
秋   : 「こわい。」
かじ  : 「あー、 私の恋は, 南の風い乗って走るわ~~。」
ひろこ: 「なんなんですか。 それ、 皆のテーマ曲かなんかですか?」
かじ  : 「あいつが 最後に 唱ってたうたや。
        姿は見えへねん、 この唱だけがきこえてくるんや。」
秋   : 「なんてよりにもよって、 人生最後っていう時に 松田聖子やったんやろ、 あいつ
       松田聖子のこと 思っ切りきらっとったやで。」
かじ   : 「おかしな やつだったな。」
秋    : 「そうやつたな。」
ひろこ : 「私ね、 プロポーズしてもらえなかったんだよ、 あの人に。」
秋    : 「え?」
ひろこ : 「まゆ山のきくせい台に呼び出して、 手には 指輪 ケースまでにぎりしめているんだけど、
        あの人 なにもしゃべらないの、 2人で だまって 夜景みてて、 そのうち、 なんだか、 かわいそうに           なって きちゃって、 しかたがないから、 こっちから 言ったの 結婚してくださいって、 そしたらあの人          ひとこと、 “いいよ”って。」
秋   : 「でも、 そういうやつやったもんな、 あいつ、 女の子の前では 全然にえきらんやつやったから。」
ひろこ: 「でも、 みんないい思い出。」
秋   : 「そうや。」
ひろこ: 「いい思い出いっぱいもらったもん。」
秋   : 「そうや。」
ひろこ: 「それなのに、 まだ 何かほしがっちゃって、 死んだ後まで追いかけて、
       いっぱいおねだりするような女よ、 わがままな女よ。」

- 小樽 -

母   : 「でもね、 おじいちゃっん、 考えたら あれから10年も 経っていろのよ。」
祖父 : 「だからどうした。」
母   : 「今年で 75でしょう。」
祖父 : 「76だ。」
母   : 「もう 無理よ。」
祖父 : 「年なんか 関係ない。」
母   : 「あるわよ、 おじいちゃん、 やっぱり 無理よ、 まって、 まって。」
祖父 : 「心配するな。 あれの命にかえても 40分以内にたどりつくから。」

-病院-

D.r  : 「こちら、 酸素吸入」
妹の夫 : 「ほら。」
妹   : 「ねーさん。」
母   : 「引越しやめるわ、 こうなったら、 おじいちゃんが 先に死ぬか、 あの家が 先に こわれるか
       見届けてやるわ。」
弟   : 「不動産屋のが保証します。 あの家が 先に こわれますよ。」
妹   : 「大丈夫よ, 姉さん、 2人とも大丈夫。」

- 山 -

秋   : 「ひろこちゃん、 ひろこちゃん。」
ひろこ: 「どうしたの。」
秋   : 「ちょっと来てみ、 きれいな夜明けやで。」
ひろこ: 「なに。」
妹   : 「きずきへん。」
ひろこ: 「なにが。」
妹   : 「あれが お山やで、 ちゃんとみてあげーな 藤井は あそこに おるんや。」
秋   : 「藤井, おまえまだ 松田聖子うとっとんのか そんちは 寒ないんか、 博子ちゃっは おれが
       もろーたでー、 え-よ、 え-よ、 え-よ-。 ほら、 ええ 言いてんねん。」
ひろこ : 「ずるいよ 秋場さん。」
秋    : 「博子ちゃんも 何か言うたれよ文句も ぎょうさん あるんやろ。」

ひろこ : 「お元気ですか、 私は元気です。」
樹    : 「はいけい、 ふじい いつきさん、 お元気ですか。」
ひろこ : 「お元気ですか。」
樹    : 「私は元気です。」
ひろこ : 「お元気ですか、 元気です、 お元気ですか、 私は元気です、 お元気ですか?」
かじ   : 「なんのさわぎやん こんな朝早よから。」
秋    : 「じゃませときーや、 今いっちゃん ええとこや。」

- 病院 -

樹(女)    : 「拝啓 わたなべひろこさま、
        私のパパは なんと 風邪を こじらせて 死んじゃったのです。
        あれは中学3年の元旦の日でした。 お正月 そうそう, おそうしきゃなんかで、 家のは
        ごったがえし、 その 疲れで ままは ねこみ、 おかげで 私は 新学期が始まっても しばらく
        学校どころではなくなったのです。 そんな ある日..... はい! どうしたの。」
男    : 「おまえこそ なんで いるんだよ。」
男女  : 「学校は。」
女    : 「なんの用.」
男    : 「これ、 冬休み前に かりといて、 返すの忘れてた 図書室に返しておいてよ。」
女    : 「そんなの 自分で 返しなさいよ。」
男    : 「それが 自分できなくなったから たのんでんだろ。」
女    : 「なんで。」
男    : 「いいから たのむよ、  誰カ死んだの?」
女    : 「パパ。」
男    : 「どうも ごしゅうしょうさまです。」
男    : 「なんだよ。」
女    : 「なんでもない。」

樹    : 「それが あいつとの最後でした、 そして 1人だけ 1週間 遅れの新学期の日.」
友人  : 「あれ、 稲葉たちのいたずらよ。」
稲葉  : 「ちがう、 ちがう、 ちがう、 ちがう、 こいつ、 こいつ、 こいつ、 おまえだよる こいつだって。」
友人  : 「知ってる、 藤井くん 転校しちゃったんだよ、 急だったから、
        あいさつできなかったんだってどした。」
友人  : 「いつき。」
樹    : 「それが あいつとの最後の思い出です。 そして あなたに 書いてあげられるお話も
        たぶんこれが最後です。」

- 図書館 -

友人  : 「いつき。」
樹    : 「ちょっとまって、 今 おわるとこ。」
ひろこ : 「拝啓藤井樹様。
         この手紙に 書かれた思い出は、 あなたのものです。 だから あなたが 持っているべきです。
         今まで 本当に どうも ありがとう。 本当に 感謝しています。
         追伸, あの図書カードの名前, 本当に 彼の名前なのでしょうかん、どういうことだ?
         彼が 書いていたのが、 あなたの名前のような気がしてしかたがないのです。
         えー、 どういうことだ?」
祖父  : 「なんだ。」
樹    : 「うん、うん、 中学の時にね、 同じ名前の クラスメ-イトが いたのそれも男の子。」
祖父  : 「それで。」
樹    : 「それだけ。」
祖父  : 「おまえの初恋か。」
樹    : 「そういうんじゃないわよ、 ただいたのっていう話.」
祖父  : 「あの木を植えた時には、 あいつに 名前を つけたっだなんて 名前だか 知っけるか?」
樹    : 「知らない。」
祖父  : 「いつきって言うんだ、 お前と同じ名前だ。」
樹    : 「うそ。」
祖父  : 「お前が 生まれた時にな-、 その木を 植えたんだ、 それで、 2人に 同じ名前をつけたのさ、
         知らなかったろ?」
樹    : 「これ? あれだ、 あれ?」
母    : 「2人 そろって 何やってんの。」
樹    : 「本当なの? 今 つくった話じゃないの? ごれだ。」
樹 : 「我不思識なるペンフレンドの渡辺 ひろこ様
     お元気ですか? こちらは まあ あいかわらずです。 どうあいかわらずかと言えば、
     いえいえ そんなことは どうでもいいわ。 それより 今日はちょっと すごい事があったんです。
     あなたに 教えてあげなければと思いあわてて ペンを とりました。
     でも、 私の場合 ワープロだから、 それは 思いかげない訪問者によって もたらされました。」
樹    : 「あら、 こんにちは。」
生徒達: 「こんにちは。」
樹    : 「どうしたの。」
生徒達: 「あの ちょっと いい物を 見つけたので、 ごれ!! うらです..うら..  カ-ドです、 うらです、 うら。」
樹    : 「拝啓 わたなべひろこさん
        やっぱり はずかしくて、 この手紙は 出せません。」  

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